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感染症との戦い 新型コロナウイルス感染症を克服できるのか


2021年4月17日

渡邉 諒 氏

毎日新聞社 科学環境部

山梨県富士吉田市出身、東京農工大農学部卒。2008年に入社し、13年4月から東京本社科学環境部。気候変動問題や臓器移植、ノーベル賞などを取材。18年4月に大阪本社科学環境部に異動し、医療取材のほか、西日本豪雨や台風21号など自然災害について科学的な視点から記事を執筆。20年4月に東京本社に戻り、医療・医学担当として、専門家へのインタビューや学術論文の読み込みなど、新型コロナウイルス感染症取材を続けている。 

 

新型コロナウイルスの特徴

米国のジョンズ・ホプキンズ大学の情報によれば、現在、世界全体で1億3,000万人以上が新型コロナウイルスに感染し、約300万人の方が亡くなっています。このウイルスは周りに王冠のような突起があり、太陽のコロナのようにみえることから、コロナウイルスという名前が付きました。一方、人間の喉や鼻、気道の細胞には、ACE2(エースツー)と呼ばれる突起があります。このACE2とコロナウイルスの突起が、互いに結合しやすい形になっており、これが結合すると感染が成立し、その後、体内で増殖します。

今、知られている7種類のコロナウイルスのうち、4種類は普通の風邪の原因となり、SARSとMERSは死亡者数も多く恐ろしい感染症を起こします。残りの1つが新型コロナウイルスで、ここ100年くらいの間に流行した、スペイン風邪、エボラ熱、SARS、新型インフルエンザなどと比較しても、拡大と死亡者数の多さが際立っています。

一般的な感染症は、症状が出始めてからウイルスを排出しますが、新型コロナウイルスは、発症2日前からウイルスを排出します。また、極小サイズの飛沫に含まれたウイルスが空気中を長時間漂うことで起こる、マイクロ飛沫感染高齢者の死亡率が高いという特徴もあります。

PCR検査のデータを示します。ウイルス量は発症の約1週間前から上がり始め、発症後にピークがきたあと、徐々に下がっていきます。このデータからも、本人の自覚がないうちに感染を広げてしまうことが分かります。10日目にはウイルス量が減り、人にうつす確率が下がるため、国の入院基準は10日間となっています。

 

多様、そして、長期に渡る後遺症

後遺症も大きな問題の1つです。東京の国立国際医療研究センターが退院した約80人の方に聞き取り調査をしたところ、咳、味覚障害、嗅覚障害、呼吸困難、けん怠感などの症状がどれくらいの期間続いたかという問いに、多くの方が「何らかの症状が50日間続いた」と回答しました。なかには、約5ヶ月間続いた方もおり、他の感染症ではあまりみられない状況です。年代別では20代で75%、30代で83%、全体では7割以上の方に後遺症がみられ、症状別では、たとえば60代は咳が最も多く、嗅覚障害、呼吸困難が続き、脱毛などもあります。

これらの後遺症はなぜ起こるのか、今ある仮説の1つに「自分自身の細胞を攻撃する物質、自己抗体が作られるため」という説があります。米国のエール大学の岩崎明子先生によると、患者の血液から約120種類の自己抗体が見つかったそうです。自己抗体ができるメカニズムは、まだ解明されていませんが、自己抗体が体を傷つけ、後遺症を起こしやすくしているのではと疑われています。仮に、犯人が自己抗体であり、そのメカニズムがつかめれば、後遺症を和らげたり、出さないようにしたりする薬も準備できるでしょう。

 

免疫のしくみ

外部から敵が侵入したとき、それを攻撃する第一関門が自然免疫で、マクロファージや樹状細胞などが、侵入してきた病原体を食べてくれます。しかし、能力はあまり高くなく、そこをすり抜ける敵もいます。続いて、獲得免疫という、特定のウイルスを攻撃する免疫が起動します。このとき、攻撃の最前線に立つのがY字型の抗体で、ウイルス表面の突起にまとわりつき、人間の細胞と結合できないよう邪魔をして感染を防ぎます。強い攻撃力があり、この抗体を作るということが非常に大事なポイントで、これはワクチンを接種することでも作ることができます。

また、実は、新型コロナウイルスには、自然免疫と獲得免疫をかく乱する能力があるとも言われています。ウイルスの持つある特定のたんぱく質が自然免疫の力を弱めてウイルスの侵入を許し、さらに獲得免疫を暴走させるというのです。これが重症化しやすい要因の1つという説があります。

 

検査で陰性なら安心か?

新型コロナウイルスの検査は、目的別に2種類あります。今まさに感染しているかを調べる検査と、過去に感染していたかを調べる検査です。今の感染を調べる検査の1つはPCR検査で、体内のウイルスの有無を調べ、もう1つの抗原検査は、体内にウイルスの表面の突起(抗原)があるかないかを調べます。過去の感染を調べる検査は抗体検査で、感染後にできる、抗体の有無を調べます。PCR検査の精度は7割程度であり、3割は間違う可能性がありますし、一度陰性だったからといって、ずっと安心なわけではありません。そのようなことに注意して結果を扱いましょう。

 

遺伝子ワクチンの効果と副反応

従来のワクチンの製法は、毒性を弱めたウイルスを培養して作るため、厳重な設備に加え、時間もコストもかなりかかります。今回、早く大量に必要となり、新しいタイプである遺伝子ワクチンというものが出てきました。たとえば、ファイザー製ワクチンは、ウイルスを体内に入れるのではなく、ウイルスの中心にある、mRNA(メッセ―ジャーRNA)という遺伝子、ウイルスの突起の部分だけを作る設計図を体内に入れます。すると、体内で突起が作られ、それを敵だと認識した体が抗体を作ります。そこに本物のウイルスが入ってくれば、すぐに攻撃でき、感染や重症化を抑えられるのです。

ファイザー社が米国で実施した臨床試験の結果として、ワクチンを接種した1万8,000人のうち8人が感染し、ワクチンでない偽薬を接種した1万8,000人のうち162人が感染しました。これを比較すると、95%感染を避けることができたという結果になります。しかし、有効性95%というのは、100人中95人に効く、95%の確率で効くという意味ではありません。あくまでも、ワクチン接種群と未接種群との比較です。重症者を減らす効果もあり、接種群の重症者は1人、未接種群は9人という結果でした。ここで重要なのは、効果は接種から約2週間後に出始めることです。
従来のワクチンとの違いとして、副反応の多さが挙げられます。ファイザー製の副反応をみると、接種箇所の痛み84%、だるさ6割、頭痛5割、筋肉痛、寒気、関節痛などが出ています。現在、接種を終えている約100万人の日本の医師のデータをみると、接種翌日に熱と痛みがあり、1回目より2回目が重く、若者と女性は副反応が起こる確率が高いようです。高齢者の例として、65歳以上の医師約500人のデータをみると、接種箇所の痛み8割、だるさ4割、頭痛2割、発熱1割という状況です。また、国内で接種された約110万回のうち、国際基準に該当するアナフィラキシーショックが起きたのは、約80人。10万人に1人の確率であり、ほぼ全員が回復に向かっているため、厚生労働省の専門部会は重大な懸念ではないと述べています。

しかし、ワクチン成分であるポリエチレングリコールに重度のアレルギーがある場合は、注意が必要です。これは医薬品や化粧品に入っており、また、食品に使われるポリソルベートは形が似ています。この2つに強いアレルギーがある方は接種を控えてほしいということです。効果がどのくらい持続するか、長期で安全か、子どもや病気の方にも使えるか、他のワクチンと反応して悪さをしないか、変異株に対応できるかなど、まだよくわからないことも多く、研究を進めているところです。

 

ワクチン接種の目的

順次、接種が進んでも、国民全体の接種が完了するのはまだまだ先の話です。では、接種済みの人が増えてきたら、何が期待できるでしょうか。個人個人の感染を防ぐことはもちろんのこと、多くの人が免疫を獲得し「大半がワクチン接種済みの集団の中では、感染者がいても感染が広がりにくい」という状態を目指しています。実現できれば、かなり収束に近付きますが、そのためには国民の7割から9割がワクチンを接種する必要があります。

高齢者は重症化や死亡のリスクが非常に高く、重症化による病床の逼迫が問題となっています。高齢者の接種が進めば医療崩壊を防ぐことができ、経済と感染症対策の両立も可能になるでしょう。今一番のポイントは、完全に収束させることではなく、高齢者を守ることと経済の両立です。

 

変異株とは

変異株が次々と出現することが、新型コロナウイルスの対策や感染の収束を難しくしている要因の1つです。今ある変異ウイルスは主に、英国で発生したN501Y変異と、南アフリカで発生したE484K変異の2つです。ウイルスは増えるときに、遺伝子情報をコピーしますが、コピーを繰り返すうちにミスが起こります。それが変異です。ほとんどはたいしたことのないミスですが、時々、大きなミスが起こり、元のウイルスより力を持つことがあります。すると、そちらのほうが優勢になり、従来のウイルス以上に強力なウイルスが増殖することになります。このように変異してきたのがこの2種類で、人間の細胞の突起と、より結合しやすくなりました。これは感染力が強くなったという意味です。逆に、人間の体で作られた抗体と結合しにくくなり、抗体の攻撃を免れるようにもなりました。それがこの2種類が恐れられている理由です。

英国型は、従来のウイルスより3割から7割ほど感染力が強く、重症度が高くなり、南アフリカ型の感染力は5割ほど上がり、死亡率が上昇しました。今、英国型が大阪で流行っていますが、若者でも重症化する頻度が上がっているそうです。変異株が国内に入ってくることは、非常に危険なことです。

変異株にもワクチンは効くのでしょうか。ファイザー製もモデルナ製も英国型には効果があるといわれています。しかし、南アフリカ型への効果は、ファイザー製で10分の1、モデルナ製で12分の1まで減るといわれています。つまり、感染防御をワクチンだけに頼ることはできないのです。

 

マスクの種類と着用の注意点

理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」が行った、会話と歌と咳でどのくらい飛沫が飛ぶかというシミュレーションによれば、1回強い咳をするとこれだけの飛沫が飛び、普通の会話や歌も、3分ほど続けると、1回強い咳をしたのと同程度の飛沫が飛び散ることが分かります。「咳をしなければ安全」とは言えず、普通の会話や歌も危険ということです。

マスクには不織布製、布製、ウレタン製がありますが、これは、それぞれのマスクの通気性(息苦しさ)とどれだけ飛沫をキャッチするかについて調べた結果です。性能が一番良いのはN95という医療者が使用するマスクですが、かなり息苦しく、日常での使用は現実的ではありません。次に良いのは、不織布製で、少し息苦しさはありますが、ウイルスをきちんとキャッチしてくれます。

布製は少し劣り、ウレタン製はさらに劣ります。不織布製には着用時の注意点があり、鼻の部分に入っている針金を、きちんと鼻に合わせて曲げ、しっかり密着させなければいけません。密着させれば約85%の飛沫をキャッチできますが、隙間があると7割ほどしかキャッチできません。さらに、頬の部分にも隙間ができやすいので、鼻と頬の隙間をいかになくすかがポイントです。

二重マスクにも効果があり、不織布製の上に布製やウレタン製のマスクを着けると、効果は9割近くまで上がります。つまり、不織布製1枚をしっかり着けるか、上から布製やウレタン製で覆うのが良いでしょう。ここで、不織布製を2枚にするとさらに良さそうですが、それだと気密性が高まり過ぎて空気の抵抗力が上がり、逆に空気が漏れやすくなるそうです。不織布マスクを二重にすることはお勧めできません。

では、外のウイルスを吸わないようにする効果は、どれくらいあるでしょうか。実は、3分の1に減らすことしかできないという結果です。マイクロ飛沫はマスクで完全に防ぐことはできず、予防の効果は完ぺきではありません。

 

対策を組み合わせ、手洗い・消毒は頻繁に

お店の換気をシミュレーションし、エアコンをつけた場合とつけない場合を比較した結果を見てみますと、つけていると、きれいな空気が広がり、つけていないと、汚い空気が上のほうによどみます。ご自宅や事務所などでも、積極的にエアコンをつけ空気を拡散させてください。また、厨房の排気のダクトを回すと空気が早く入れ替わることも分かっています。排気がない場合は1時間に2.6回ですが、排気を行えば、1時間に11回ほど空気が入れ替わり、環境がより安全に近づきます。

どれか1つか2つ、対策をしていればいいというわけではなく、マスクを着け、換気をし、ワクチンを接種し、さらに手洗い、手指消毒、3密を避けるというように、対策を総合的に組み合わせる必要があります。手の洗い方について、大阪大学医学部附属病院の感染生理学の先生に聞いたところ、洗い方ももちろんですが、頻度のほうがさらに重要だそうです。洗う回数、消毒の回数を増やすことを心掛けましょう。

 

正しく選別、賢く利用

コロナだけでなく、あらゆる医療情報は正しく選別し、賢く利用していくことが必要です。間違った情報にだまされれば、命や財産を奪われることもあります。ここで、根拠のある情報を基にしなければ、誤った選択をしてしまうという、具体的な例をみてみましょう。

「ダイエット薬が新たに発売されました。これを飲んだ100人の女性は、1ヶ月で体重が約3kg減り、ウエストは5cm減りました」。この薬には効果があるでしょうか? 体重が減った100人というのは、分数でいうと分子です。何人が飲み、何人が痩せたのでしょうか。実は1,000人飲んだうちの100人が痩せ、900人は変化なしか、むしろ体重が増えたという結果でした。なんと1割の人にしか効果がなかったのです。分母が何かということを常に気にかけてください。

次の例です。「ある学校で定期試験が近づいてきました。1組と2組はいつもだいたい同じくらいの成績ですが、今回、1組だけが頭の良くなる薬を飲んだところ、1組の平均点が90点になりました。今までにない高得点です」。これは薬の効果でしょうか? 実は、薬を飲まなかった2組の平均点も90点でした。つまり、今回の試験が簡単で、薬を飲もうが飲むまいが、90点取れたのです。一方の結果だけをみていては、本当の効果は分かりません。

最近では、何かを調べるとき、インターネットで調べることが多いですね。しかし、インターネット上にある情報はすべて正確といえるでしょうか。2016年6月、ある検索エンジンに、「乳がん治療、乳がん治る」という検索ワードを入れ、出てきた上位20個のサイトを専門家が調査した結果、信頼できるサイトは1割しかなく、4割は当てにならない情報でした。改善されてきてはいますが、インターネットにはありとあらゆる情報が出ているのです。

人は心に隙があるときや、新型コロナの不安、家族や自分ががんになったなど、心が不安定なときほどだまされやすく、情報を正しく選別、正しく価値判断する能力が落ちます。ぜひ、普段から正しい情報を見極める力を身に付けておきましょう。

 

信頼できる情報とは?

では、信頼できる情報、信頼できない情報について、研究手法を例にみていきましょう。信頼性が高い順に上から、ランダム化比較試験、観察研究、実験室の研究と続き、信頼性が最も低いのが、経験談や権威者の意見です。信頼性の低さの裏にあるものは、偶然や偏りです。

経験談を例にみてみましょう。「3た論法」という手法で「雨乞いをした。雨が降った。ゆえに雨乞いが効いた」というと、雨はいつか必ず降るのに、雨乞いをしたから雨が降ったと、いかにも関連がありそうに感じます。同じように、「薬を飲んだ。症状が治まった。この薬が効いた」というと、その薬の効果があったように感じられますが、それは本当でしょうか? 経験談というのは、参考にはなりますが、効果があることの根拠にはなりません。

権威やブランドは、人の認識を歪める恐れがあります。「△△医学部との共同研究」、「◇◇教授の注目の治療」と聞くと信頼できそうに思えますが、実際には、医学博士が株式を持つ会社の商品かもしれませんし、教授は多額の宣伝費をもらっているかもしれません。情報の裏にあるものにも注意してください。

実験室の研究はどうでしょう。薬やワクチンの開発には、ヒトの細胞を使った実験や、動物実験が欠かせません。しかし、仮にそこで効果があっても、実際に生きている人間で効果があるかどうかは、別問題です。細胞実験レベルで医薬品候補となる物質が見つかったとしても、それが実際の薬になる確率は、2万分の1だそうで、1万9,999個は薬までたどりつかないのです。また、動物実験で効果があっても、人間に効くとは限りません。

観察研究として、症例報告というものがありますが、ある人に効いた治療が他の人にも効くとは限りません。重要な参考情報にはなりますが、「効いた人がいた」ということは「他の人にも効く」ということの証明にはならないのです。

では、比較試験はどうでしょうか。たとえば「運動する人ほど風邪をひきにくい」という説があり、グループを作って調べたら「運動するグループは風邪をひく人が少ない」という結果になりました。しかしそれだけで「運動は風邪を抑止する」といえるでしょうか。運動をする人は、健康への意識が高い、体が丈夫だ、生活にゆとりがあるなどの理由で風邪をひきにくかっただけかもしれず、本当のところは分かりません。つまり、背景に運動以外の要因があり、運動と風邪をひきにくいことは、本当の原因と結果ではない可能性があるのです。このような関係を相関関係といい、因果関係とは区別しなければいけません。

「昭和41年から昭和55年までの日本の家庭で、カラーテレビの普及率が高くなるほど、女性の平均寿命が伸びた。」ということが実際にありましたが、このように、まるで関係のないことが、さも関連しているかのようにみえてしまうのが相関関係です。一見、因果関係があるかのようにみえて、実はただの相関関係だということはよくあるので、注意が必要です。

一番信頼性が高い研究は、ランダム化比較試験です。ある集団のなかで、性別、年代、病気、生活習慣などの異なる人々を、差がないようにA、B、2つのグループに分け、Aグループには新薬を投与し、Bグループには従来の薬を投与したとします。その結果、Aでは6人が治り、Bでは2人が治ったという場合、新薬に効果があったといえます。新型コロナウイルスのワクチンも、接種群よりも未接種群の発症者数が多かったので、このワクチンには効果があるということが分かりました。
ランダムに分けることで偶然や偏りがなくなり、再現性、普遍性が担保されるのです。すると、公的な医療保険なども使えるようになります。つまり、保険が使えない薬や治療は、基本的に再現性や普遍性が確認されていないのです。比較していれば、何でも信用できるわけではなく、きちんとランダムに分けているかが重要です。

 

正しい情報の集め方のコツ

最後に、厚生労働省が出している、「医療情報を見極めるための10カ条」からコツを紹介します。1、根拠を常に気にしよう。2、情報の偏りをチェックしよう。3、数字や言葉のトリックに注意しよう。たとえば、1gと1,000mgというのは同じ量ですが、受ける印象は違います。4、出来事の「分母」を意識しよう。5、いくつかの原因を考えよう。6、因果関係を見定めよう。7、比較されていることを確かめよう。8、ネットの情報は、否定する意見や、さらに補強する意見がないか、よく確認しよう。9、情報源を確認しよう。10、物事の両面をよく見比べよう。ということです。これらのことが非常に重要です。

 

質疑応答

女性A「国産ワクチンは、なぜ開発が進まないのですか?」
渡邉氏「日本は従来型のワクチンを作る能力が高く、ワクチンの先進国だと言われてきました。しかし、その製法では時間がかかり、すぐに使うことができません。今回のワクチンは、新型コロナウイルスが発生する前から、米国、英国、中国、ロシアなどが研究していた新しい製法で作られました。国内でも、新型インフルエンザが出たとき、新しいタイプのワクチンを作る体制を整えるべきだという提言があり、一部で進めてはいます。しかし、国全体で進める体制にはなっておらず、それが出遅れの原因だと思います。また、米国は集中的に予算を付けてファイザー社やモデルナ社に開発を促していますが、日本政府は予算の規模も少ないようです。今後、作っていくような動きはあります」

男性A「高齢者の7割はワクチン接種、特に、副反応への不安が強いようです」
渡邉氏「不安を感じるのはもっともなことです。国も情報発信を広くしており、最近では、強い副反応が出るデメリットよりも、ワクチン接種で下がる死亡率のメリットのほうが、確実に上回るということを周知しようとしています。ワクチンに対する否定的な考え方を払拭する努力や理解を進める必要もあると思います」

男性B「抗体はどれくらい維持できますか?半年でなくなるとしても、接種する意味はありますか?」
渡邉氏「自然感染でできた抗体は、半年は維持できるという研究があります。ワクチンはどうかというデータはこれから集まってくるでしょう。しかし、ゼロにならない限り、重症化を抑える効果は期待できます。今のところ有効率95%と言われており、効果は高いと思っています」

男性C「PCR検査の検査数が少ないのはなぜですか?また、中国、ロシア、インドなどのワクチンにも、きちんとした効果がありますか?」
渡辺氏「以前、PCR検査数が少なかったのは体制不足でしたが、今はかなり整いました。7割の精度ということを織り込み済みで使うには、非常に優れた手法です。通行人を端から全員検査するというような使い方は適切ではなく、必要なときに必要な人に使うべきです。中国のワクチンについてはわかりませんが、ロシアのワクチンはきちんとした論文が出ており、ファイザー製、モデルナ製と同様の効果があるようです

 

 

 

 


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05/18日韓関係の改善は本物なのか澤田克己 氏

06/15宗教と政治を追う坂口裕彦 氏

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